未調査の女性

新しい職場で、ひとつ年下の友人ができた。 お互い彼女がいない、こっ恥ずかしい現状が二人の距離を縮め、ラケットを交える仲にまで成長した。 ラケットというのはしゃもじより一回り大きい、ピンポン球を打つやつを指す。 
金曜の夜21時@横浜、選択肢に「卓球」が存在する時点で、僕たちはウダツの上がらないドブネズミだ。 ドブネズミとはいえ、美しくなりたい二人はお互いのカードからハートを出し合い、異性を交えた会合を開こうと約束を交わした。 前向きに汚い足で進むことを誓ったフライデーナイト。  
最初は僕のツテで開いた。 男女計10人くらい、比もほぼ半々だった。 終電間際まで飲み、楽しかったですねと彼は言い、次は僕の番だと息をまいていた。 
それから数週後。 言葉を交わす間柄の保険のお姉さんと約束を取り付けました。 そんな朗報が彼から飛んできた。 飛んでくるというか、背中合わせで仕事をしているので肩越しに報告を受け、その労をねぎらった。 オフィスにやってくる保険レディの中で、唯一「飲む」対象だという。 
35歳で二児の母は僕の対象外だと伝えておくべきだった。 後悔しながら店を出たとき、金曜の夜が活気を帯びるには早すぎる時刻だった。