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テレクラに行ってみたい。 
15年前の抱いた夢をまだ叶えていないことに気づき、すぐさま付き添ってくれる人を探した。 1秒で見つけた。 隣のデスクにたたずんでいる手下の佐藤君を1位指名したところ、むしろ逆指名してくれた。 
小6でオナニーのペースで成長した僕は、テレクラというシステムの解明に取り組んだ夏休み。 
サッカークラブの仲間と、女になりすましてダイヤルをして様子を伺う。 恥ずかしがり屋を装った僕を、藤沢駅の噴水前で待つと伝えた男。 鎌倉女学園の制服と言ったが誰も持っていないので 短パンとTシャツで待ち合わせ場所へ向った。 必死に自転車をこいだ。 道中、市民プールへ行こうという少数派の意見は、セミの音にかき消されていた。
12歳なりの答が出る。 テレクラは確実にやれる。 もしも僕が本物の女子高生なら、10メートル先にいるポロシャツの男とラブホテルにいるはずだ。 
不特定多数のやりたい女に告知される電話番号の、その電話に出れるようになるには、おおよそ8年は待たないといけない。 サクラという、裏に隠された方程式を知るには僕らは幼すぎた。 純粋無垢な夢をタイムカプセルに埋めてから、流れるように時間が過ぎ、仲間達とは散り散りになってしまった。  
サクラなど、どうでも良い。 早く大人になりたいと願った12歳の僕の夢を叶えてあげたいのだ。 三度目の一時帰国はゴールデンウィーク。 不特定多数の女性からの電話は、手の届くところまで近づいた。 
トップページに携帯番号を記すのは、12歳の夢のカケラなのかもしれない。