03/08

「ユウコの持ってる白のワンピースと絶対似合うって!」
仲の良い二人の会話に、店員が口を挟みながら他の選択肢を勧める。 女にだけ許されたこの光景は、ドラマのシーンとして成り立つし、実際にテレビで映ることだと思う。 洋服を買う女の子は、とても絵になる。
「おい! てめー、なんなんだよ!」 
昨日佐藤君が怒鳴ったショップでの一言。 男同士で洋服を買うという行為が間違っているのですが、そもそも佐藤君は僕に敬語を使う立場だったと記憶しています。
確かに佐藤君が「いいな」と先に言ったかもしれませんが、僕は10月の時点で「いつか買おう」と心に留めていた靴。 たまたま佐藤君が手に取った瞬間、『いつか』に相当するタイミングが訪れたのです。 先に「サイズ9持ってきて」と店員に伝えたので、履いたのも僕が先です。 そのまま購入する旨を伝え、先にキャッシャーへ持っていきました。 
「ふざけんなよ! 靴を貸しあうような仲だと思われんだろ!!」
同じ靴をレジに持ってきた佐藤君を叱りました。 こんなことまで佐藤君を教育しなければいけないのかと、彼のモラルの低さを垣間見たのですが、指導も空回りし、数分後にはお金を払っていました。 
もう、買ってしまったので仕方ありません。 いろいろと弊害はあるのですが、僕と佐藤君は同じ靴を所有することになりました。 試し履きした靴を、レジで箱詰めする際、カカトのところにこっそり『佐藤』と書いといてあげたので、よく見れば違う靴なんですけどね。