02/17

「さすがっすねー、中村さん。 僕、まだ決まんないっすよー」
教え子である佐藤君の前では、いいかっこしてしまう。
「佐藤君。 もう雰囲気で決めちゃえよ。」
僕は、束の中から3枚抜き取り、横によけておいた。
「はい、俺こっちは全部チェックしたから」
「え? もう目を通したんですか? はえーー」
「早く交換しようぜ。 そっちどうなの?」 
「んー、外人が多いっすね。 中村さんのほうはどうなんですか?」
「日本のがほとんどなんだけど、んー、びみょー」
5枚のエロビデオCDを買うと、1枚無料になる。 良心的なお店である。 ちなみに一枚300円。 束を半分づつにしてチェックしていた。 お堅いお国柄なのでDVD屋さんの奥に小さな小部屋でひっそりと売られている。 会議室にあるようなテーブルと椅子に並んで座っていた。 
しばらくして、お互いの束を交換し、またチェック。 
「でもさー、この中から選ぶってことは、佐藤君にはじかれたゴミってことになるんだよねー。」 
「そうですねー。 っていうか、中村さん、なんでこれはじいたんですか?」
「あーー!! それ、迷った!!」
「ですよねー。 いちおキープしよ」
「佐藤君さー、外人ものにチャレンジするのは分かるけど、こっちの束いらねーのばっかじゃん。 時間かかりすぎ」
とかいって、一人だともっと時間がかかっている。 この日は佐藤君と一緒なので、通常の3倍のペースで束から抜き取っていた。
 
「パッケージのカラーコピーが鮮明じゃないし。 良く見ないと部屋戻ってガッカリするじゃないっすか。 あ!! これ!! これなんで中村さんはじいたんすか?」
「それ、俺も選んだよ。ほら、おんなじの」
僕の教育が行き届いている証拠だ。 制服姿がイカス姉さんに、彼も何かを感じ取れるように成長したのだ。
 
「佐藤君、選びおわった? 俺、あとおまけの1枚だよ。 なんにしようかな〜? 無料だと、思いっきりチャレンジしたくなるよねー」 
あー、ちょっと待ってくださいよー。 そんな答が返ってくると思いきや、
「今、7枚なんですよ。 どれか一つ捨てなきゃ」
いつの間にか抜かれていた。 
佐藤先輩、二人が買った同じビデオCD、例のやつなんですけど、あれはハズレってことで合ってますよね? 
 
手、専門って。