03/29 切ない青春のころ

土曜動画劇場を一身上の都合(自我崩壊)で止めてしまったので、今日は自分の昔話を書きます。  この話も十分自我崩壊かもしれないけど。
2軒となりに、若くして未亡人となった女性が引っ越してきた。 卒業式も終わり、アパートを引き払うまであと数週間と迫った小春日和。 平平凡凡と生活していた僕にしてみれば、これほどまで『ドラマのような運命的出会い』を経験したことは無かった。 
滞納していた最後の家賃を払いに、管理室のドアをノックしようと手を伸ばす。 すると向こう側からドアが開き、息子のように僕を可愛がる大家のババアが顔を出し、屈託の無い笑顔で朝の挨拶を投げてきた。 
ババアともう一人。 スニーカーの紐を結ぶ女性は、僕に気づくや否や慌てて立ち上がる。 世話好きな大家は、大方の自己紹介項目に色を付け加えて喋り、話の主導権を若い未亡人に譲った。 
黒くツヤのある髪が華奢(きゃしゃ)な肩にかかる。 恥ずかしそうに足元を見つめ、かすれるような声で挨拶をしてくれた。 白い頬と対照的に、涙目のように映る大きな瞳。 ピンク色に染まる目元はファンデーションではない。 震える声が小さく尖ったあごからこぼれ、 きっと僕の顔も紅潮していただろう。 
コンビニのレジの列で2度目の会話を交わしたのは、その二日後。 始めて笑顔を見せてくれた彼女に、恋心を抱かずにはいられなかった。 とどのつまり、若い頃の僕は一目惚れするような単純な男の一人だったのだ。
近くで生活しているとはいえ、童貞だった僕には遠い存在に感じていた。 歳は同じだが結婚するほどの恋愛を経験し、幾度となく僕の知らない男と夜を過ごしただろう。 
ちなみに僕の童貞損失は、顔見知りの人妻だった。 セックスができるのなら誰でも良かった。 風俗で済ませようか迷っていた矢先、誘われるままコトに興じてしまった。 今思えば恥ずかしい話だが、愛も恋もそんなもの何一つ介在しなかった僕の初体験だ。 
アパートの最上階に二つだけあるファミリータイプの部屋。 5歳年上の専業主婦が暇を持て余す昼下がりに幾度となく呼ばれ、また自分から出向くことすらあった。 とにかくセックスがしたい。 アダルトビデオで見るような色々な性技を試したくて仕方ない。 彼女は彼女で、セックスを愉しむことができる人だった。 ベランダでの行為もあった。 豊満な体を文字通り自由自在に弄び、彼女は一度たりとも拒むことはなかった。
男は、本当にバカな生き物だと思う。 一度セックスを経験しただけで、周りの女を見る目が変わってくるのである。 負い目を感じていた未亡人の彼女を「ちゃん」付けで呼び始めたのをキッカケに、いつの間にやら夕食を一緒に食べるような仲にまでなっていた。 
今では慰霊となる、死んだ旦那とのツーショット写真がベッドの横に飾られていた。 気が引けるどころか、いつまでもこの男に縛られている彼女を解放して自分の物にしたくなった。 我慢できず、押し倒した彼女の唇へキスをし、片手で両腕を抑え、もう片方の手でワイシャツのボタンを外す。 抵抗していた彼女の手の力が弱まるのを感じたとたん、ワイシャツからスカートの中へと手を滑らせた。 
全裸になるのを恥ずかしがった彼女の要求通り、ほとんど服を脱がずに進ませ、中で出してしまった。
 
去年の5月だっただろうか。 
 
手下の佐藤君と競い合いながら、こんなエロゲーに燃えていたのは。