Jリーガー武田、今は解説者

一万人規模のアンケートで「尊敬するサッカー選手」の名前を挙げさせていくと、一人二人は元ベルディの「武田修宏」さんと答えるかもしれません。 「抱かれたいJリーガー」のほうが上位に名前が挙がりそうです。 でした。 

そんな武田さんが解説する第27回全日本少年サッカー大会を、休日の朝っぱらからテレビ観戦。 延長後半ロスタイムに追いつき、再延長後半で江南南SSが逆転して優勝。 負けた富山北FCJには男女双子のミッドフィルダー『成瀬兄妹』を擁し、兄妹揃ってプレーできる最後の試合など、様々な折り紙を付けた漫画チックなものでした。 
八月の朝っぱら、小学生による小学生のための生ぬるい試合を飽きさせず、大人な僕まで惹きこませたのは武田修宏の解説。 
ネガティブな部分に触れないのは当たり前。 選手本人すら気づいていない個性や技術まで褒め称える着眼点とそれを言葉に変換する速度は、建もの探訪渡辺篤史に匹敵すると思います。 
「両チームのディフェンスが最後まで歯を食いしばって押さえ込んだ」(前後半終わって0対0に終わったことに対するコメント) その真は決定力の無さや、あさっての方向に放物線を描いたサッカーボールだったりするのですが、「キーパーのガッツ」「ディフェンスのがんばり」「優勝への執念」という温度すら感じる言葉に昇華させます。 
ベンチサイドからのレポートも生ぬるいを通り越し、それこそあさって方向へのキラーパスが飛んでくるのですが、「江南南のエース原口君。 昨日宿舎ではコインを使った手品の練習をしていたそうです」 これに対して武田さん、「グラウンドの中だけの活動だけではなく、外での交流も重要なんですね」 考慮時間コンマん秒、サラリと言ってのけるところが武田解説。 代わりを勤められる『ぬるめ試合解説者』はそう簡単に出てこないと思う。 
二日酔いでゲロを吐いてる奴が隅っこに映っちゃってる、素人フットサルの試合すら解説できそうなほど、生ぬるい現実を「サラリーマン稼業をしながらサッカーを楽しみたいと思う気持ちがあらわれてます」と昇華できるJリーガーは彼しかいない。