カプセる

吉野家以上相撲部屋未満、男の聖域「カプセルホテル」に身を委ねた名古屋二泊目。
 
 飛び立つ前の飛行機で熟睡に落ちる人間が言うのもなんだが、この世で一番眠りやすい空間がカプセルだと知ったのは去年のこと。 早朝集合に間に合う自信がなかったため、前夜から最寄駅のカプセルで待機したのがきっかけとなり、それまで利用していなかったことを大いに後悔した。
 
漫喫を覚えたのも最近だが、終電を逃して眠くなるとビルとビルの谷間で寝ることが多く、これは目覚めた時の不快感と行けない方向に足を踏みこんでいる危機感を伴う。 帰宅という選択肢が最初から存在しないのは、「明日がある」の精神が奥底に横たわっているからだろう。
 
カプセルの良い点は銭湯並みの浴槽とサウナの存在も大きい。 で、昨日泊まったカプセルのそれはちょっとしたテーマパークのようだった。
 
15メートルX7メートルほどの温水プールは造形された岩場から滝のように水が流れ、洞窟に見立てたスペースには垢すりコーナー。 その周りを囲むように冷水から50度まで、様々な温度に設定された湯船が点在し、サウナも二種類。
 
サウナで存分に汗をかいたあとフルチンで泳ぐと、あたかもマーメードになったかのような錯覚は快感に値する。

昨晩一緒に飲んだ男は「名古屋にテーマパークが無い」と不満をもらしていたが、ディズニーランドとこのカプセルを交換してほしいくらいフルチン水泳はファンタスティックだった。