03/03

人間に本気で刃向かう生き物って、意外に多い。 
都会に住んでいる人間には無縁の話だ。 強いて言えば、犬や猫だと思うが、『食ってやろう』レベルまで戦闘意識を高めることは早々ない。 僕が10代のころ、飼い犬が何度か本気の勝負を挑んできたが、ことごとく右フックで倒してきた。 
さて、久々に、僕を食べようとする生き物に出会った。 まあ、チャレンジするのは自由。 そりゃタバコをパカスカ吸ってるぶん体力は弱っているけど、さすがにアリくらいなら今でも叩き殺せる。 
普段、どこででも見るようなアリとは違い、人の寄り付かないジャングル風の茂みで遭遇したアリは、本気で僕を食べようとした。 すぐさま、両足に10匹づつのアリがよじ登り、仲間が目の前で叩き殺されようが、次から次へとスネ毛をかきわけて行進し、噛み付いてくる。 
機敏な動きに、皮膚を噛み切る力強いアゴ。 そして始めて見る、赤い胴体のアリ。 
ガンダム的に『普通のと違うよ』と視覚へアピールし、僕との身長差を埋めていた。 比率を見れば、僕が会社のビルを食べようとしているのと同じくらい無茶な話。 もちろん、赤く塗っても無理だと思う。 やってみなければ分からないけど。
そもそもフェアウェイを外し、こんなとこにボールを打ってしまったのが間違いだった。 しかし、そのボールにすら5,6匹のアリがうごめいている。 北朝鮮人じゃないから分からないだけかもしれないけど、本当にお腹が空くとは、ゴルフボールすら食べようとすることなのかもしれない。 食物確保への執念がそこにはあった。
クラブを握ると、食べ放題状態の両足へ、お客さんが絶え間なくご来店。 打つべきボールは、赤い点々が動いて鬱陶しい。
アリが邪魔で1ペナ払ってボールを移動したのは始めてだし、なんか陰毛まわりが今も痒い。 
 
少なくても、うちの犬よりかは善戦したと思う。